トレーサビリティについて

発電所では、各設備の運転状態を測定して運転員に認知させるため、あらゆる設備に監視計器を設置しています。これら監視計器によって得られる運転データは、発電所の品質を判断する重要な指標となるため、とても高い信頼性が要求されます。
ここで計器の信頼性について、主題の通り“トレーサビリティ”の観点にまとめてみたいと思います。
計器とは、JISにおいて、「a)  測定量の値,物理的状態などを表示,指示又は記録する器具。(備考  検出器,伝送器などを含めた器具全体を指す場合もあれば,表示,指示又は記録を担当する器具だけを指す場合もある。)b)  a)で規定する器具で,調節,積算,警報などの機能を併せもつもの」と定義されています。
ここでいう測定量あるいは物理的状態は、火力発電所においては、圧力、流量、温度、電流などが多く扱われる対象となっています。
計器において信頼性を求める際には、これらの物理量の計器上の表示値が正しい値を示しているかということになるのですが、ここで1つ大事なことがあります。
正しい値とは誰が決めているのか?ということです。
私の発電所では計器ので扱う物理量の単位はすべて国際単位系(SI)を採用していますが、この場合、各物理量は国際的に定義された基準によって決められることになります。
つまり、計器が示す物理量の値が、上記定義による基準の通りであればその計器は信頼できるということになります。では、その基準通りであるとするにはどのようにすればいいのか、一番確実なのはその基準の物理量を計器で測定、比較を行い、その物理量が正しく計器で示すように調整してやることです。
ここ日本においては、国立研究開発法人産業技術総合研究所が、日本唯一の国家計量標準機関として、国家計量標準を設定、供給しています。国家計量標準は、「ものを測るものさし」として、国が計量法の基づき定めた唯一の物理量の基準になります。国のお墨付きともいえる計器となるわけですが、このような厳格なものは一般民間レベルで扱える代物にはなっていません。
そこで計量法では校正事業者登録制度を定め、基準を満たした特定の事業者に対して、国家計量標準に基づいた標準、いわば国家計量標準のコピーを製造し、それらを元とした民間企業に対する計器校正事業を行うことが認めています。民間企業は、校正事業者による校正を受けた計器を使用してその他の計器を校正することにより、これらの計器は国家計量標準と結び付けられることになります。このように、計器の校正が国家計量標準まで辿れることは、トレーサビリティが確保されていると一般的に表現され、計器の信頼性を示す重要な指標になるのです。私の発電所では、重要な監視計器に対してはトレーサビリティを確保することをルール化していますが、これは国が発電事業者に求める品質管理基準に準じるものとなります。
私たち工事担当は、このような日々の品質管理が重要な業務になっています。

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